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ページ番号:23102

更新日:2026年4月22日

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答申第117号の概要

・諮 問 別表の第3欄に掲げる開示請求の別表の第6欄に掲げる開示決定に対する審査請求についての諮問事案

・実施機関 奈良県知事(法務文書課)

・事案の経過 (1)開示請求 別表の第2欄のとおり
       (2)決定 別表の第5欄のとおり
       (3)審査請求 別表の第9欄のとおり
       (4)諮問 令和7年12月10日
       (5)答申 令和8年3月31日 

・諮問に係る不開示部分 
 別表の第7欄のとおり
 <不開示理由> 
 別表の第8欄のとおり 

・審査請求の理由 
 別表の第10欄のとおり

・審議会の結論
 実施機関が行った決定に対する審査請求は、不適法なものであるため、実施機関は却下すべきである。
 <判断理由>
 条例における実施機関が保有する個人情報の開示請求等の権利は、個人の権利利益を保護する観点から最大限尊重されるべきものである。また、行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「行服法」という。)に基づく審査請求の権利についても、国民の権利利益の救済の観点から安易に制約することは許されない。
 しかし、権利の行使といっても、常に例外なしに無制限に認められるというわけではなく、民法(明治29年法律第89号)第1条第3項の「権利の濫用は、これを許さない。」との規定に表象される法の一般原理としての権利の濫用に該当する場合には、外形上権利の行使のように見えても、権利の行使として是認することができないというべきである。
 よって、行服法に基づく審査請求について、それが国民の権利利益の救済に資するところが極めて小さいにもかかわらず、行政に過大な負担を強いるといった事情があり、国民の権利利益の救済及び行政の適正な運営の確保といった同法第1条第1項に規定する目的に資するものではないか、又は資するところが著しく乏しいことが明らかである場合には、当該審査請求は審査請求権の濫用に該当する不適法なものとして却下されることもありうるといえる。
 ここで、本件審査請求において、審査請求人が開示を求めている奈良県職員のメールアドレスは、審査請求人の個人情報ではなく、審査請求人の個人情報が記載されている行政文書に記載された審査請求人以外の個人情報である。
 当審議会は、令和5年度答申第93号、第94号及び第95号(以下「令和5年度答申」という。)において、このような場合であっても、審査請求人が既に知っている奈良県職員のメールアドレスについては、そのメールアドレスの開示を認めることによって、実施機関の主張する当該職員の権利利益が侵害されるおそれ及び実施機関の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれが生じる相当の蓋然性があるとはいえないため、不開示情報には該当しないと判断した。
 また、従前より、審査請求人は、審査請求人自身が既に知っている奈良県職員のメールアドレスを明らかにしないまま審査請求を行ったうえで、意見書において追加的に、自身が既に知っている奈良県職員のメールアドレスを、当該職員とやりとりをしたメールの写しを添えて明らかにすることを繰り返してきた。
 そのため、当審議会は、令和5年度答申後に審査請求人による同種の事案を審議した際に、令和5年度答申に照らし合わせれば、開示請求の対象となる個人情報に含まれる奈良県職員のメールアドレスについては、それを審査請求人が既に知っているか否かにより、開示すべきか否かの判断が変わるものであるため、審査請求人の協力がなければ適切な個人情報の開示決定等が行えない旨を述べたところである。(令和7年度答申第100号、第101号、第102号、第103号及び第104号(以下「令和7年度答申」という。)
 本件審査請求における審査請求人の訴えは、奈良県職員のメールアドレスの不開示部分の開示に尽きるものであることから、実施機関は、令和7年度答申を受けて審査請求人に対応の機会を与えるため、審査請求人が既に知っているメールアドレスの提示を求める補正依頼を行った。しかし、審査請求人は、相当の期間をもって補正の機会を付与されたにもかかわらず、一定の範囲の職員のメールアドレスは原則全て承知していることのみを主張し、当該補正依頼に応じなかった。
 仮に、審査請求人が、当該補正依頼に対し、奈良県職員のメールアドレスのうち審査請求人が既に知っているメールアドレスを示していれば、実施機関は、当該メールアドレスのうち、開示文書に係るものを追加的に開示でき、審査請求人も当該開示を速やかに受けることができていたものであり、当審議会において審議をするまでもなく審査請求人の利益は充足されることとなる。
 このように、当該補正依頼に応じていれば審査請求人の利益は充足されることとなる状況であったにもかかわらず、審査請求人は、これに応じなかった。審査請求人は、一定の範囲の職員についてはそのメールアドレスを「原則すべて承知している」と回答しているが、これだけでは、個別の職員のメールアドレスにつき審査請求人が把握しているのかどうかを判断できない。審査請求人は当審議会宛ての意見書において、既に知っている奈良県職員のメールアドレスを悉皆的に把握していないこと、立証できる奈良県職員のメールアドレスの回答のための作業には膨大な時間と労力を要するなど、メールアドレスの提示の協力に応じなかったことについて、種々多様な理由を挙げている。しかしその一方で、審査請求人は、当審議会の依頼があれば証拠書類を提出する等の主張を行っている。また、上記のとおり、審査請求人はこれまでの審査請求において、意見書の中で、審査請求人が既に知っている奈良県職員のメールアドレスを、証拠としてのメールのやりとりの写しを添えて具体的に示すことを繰り返してきた。
 以上の経緯からして、当審議会としては、審査請求人は、既に知っている奈良県職員のメールアドレスを示すことが可能であるにもかかわらず、あえて実施機関に事務を強いるために実施機関の事務の協力に応じなかったと判断せざるをえない。
 なお、審査請求人は、実施機関が実施機関全ての職員のメールアドレスを把握している当然の事実をことさら主張し、実施機関側が労を惜しまなければ、審査請求人の知らない例外のメールアドレスを特定することができるなど、実施機関側で事務を負担すればよい旨の主張を行う。
 しかしながら、実施機関は3,500人を超える職員を抱えていることを踏まえると、そのようなメールアドレスの特定は不可能又はきわめて膨大な時間及び労力を要するのであり、奈良県として遂行すべき適正な事務とは認められない。
 これらの事実からすれば、これらの審査請求人の行為は、審査請求人自らが認めるとおり、実施機関の事務に多大な負担をかけることを認識しておきながら、あえてこれらの事務を強いるために協力に応じず、実施機関の事務を混乱、停滞させることを目的としていると解されても致し方なく、また、そのようにしてまで自らが既に知っている奈良県職員のメールアドレスの開示を求めるというのは、審査請求人自身の個人情報の適切な開示を求めるものではないと言わざるを得ない。
 よって、審査請求人が実施機関の定める相当の期間内に補正に応じなかった本件審査請求は、審査請求権の濫用に該当する不適法なものとして却下されるべきである。
 審査請求人は、本件回答書及び意見書において、その他種々主張するが、いずれも当審議会の判断を左右するものではない。

別表(PDF:117KB)

 

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