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ページ番号:26652
更新日:2026年10月13日
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ブドウと温暖化
秋になると、ふとした瞬間に夏の思い出がよぎります。暑い季節、一粒一粒丁寧に食べた甘い果物、ブドウ。夏休み中、お盆の時期などに食べた方も多いのではないでしょうか。しかし、ブドウは夏の暑い時季に果実が成熟するため、近年では温暖化による猛暑でブドウの高温障害が増えています。海外でも、今夏はフランスを中心としたヨーロッパで「ヒートドーム」と呼ばれる気象現象の発生により異常な高温・熱波が諸国を襲い、ワイン用ブドウが大きな被害を受けました。
温暖化によるブドウの高温障害には、葉や果実の日焼け、着色不良などがあります。日焼け被害は、強い日差しによって葉や果実表面の温度が極端に高くなることで、茶色く変色したり萎れたりする症状を指します。品種にもよりますが果実では一回でも35~40℃以上で数時間さらされると発生リスクが高くなります。着色不良は、黒色系や赤色系の品種で発生しやすく、本来ならば黒色や紅色になるはずが、色味が浅い赤色や桃色になる症状を指します。これは着色に必要な色素の合成が、夜間の高温によって抑えられることなどが影響しています。ブドウは日中の光合成で得たエネルギーを使って夜間に色素を合成、蓄積しますが、夜間の温度が高いとそのエネルギーを呼吸で消耗してしまい、結果として着色不良となる訳です。
高温障害を防ぐ手段として、袋かけや傘かけ(写真)によって果房を日差しから守ったり、樹上を寒冷紗や遮光ネットで覆ったりする方法があります。また、高温障害が出にくい品種や、着色の心配が少ない白色系の品種、成熟・収穫期が遅い晩生品種を選ぶのも一手です。そのほか、冬期加温ハウスでの促成栽培によって収穫時期を初夏頃に早めることも被害の回避に有効な場合があります。
こうした様々な日差し対策や暑さ対策を経て、ブドウは生産されています。大切に守られてやっと実ったブドウ、これからも丁寧に食べたいものです。
【豆知識】
ブドウの品種は果皮の色によって「黒色系」、「赤色系」、「白色系」に大きく分類されます。黒色系の品種には‘巨峰’や‘ピオーネ’、赤色系には‘デラウェア’、白色系には‘シャインマスカット’がそれぞれ含まれます。ブドウの果皮が何色になるかは、色素であるアントシアニンの合成を調節するMYBという遺伝子が関与しています。MYB遺伝子にはいくつかのタイプがあり、その種類や組み合わせにより着色機能が異なって、果皮色の違いに繋がっています。着色に機能しないMYB遺伝子のみを持つ場合は白色系に、着色の機能が強いMYB遺伝子を持つ場合は黒色系、弱い場合には赤色系になります。
近年の温暖化に対応する品種として、高温でも着色しやすい黒色系の大粒品種‘グロースクローネ’がありますが、この品種のMYB遺伝子型を確認すると、従来の黒色系品種よりも着色への機能が強いことが分かっています。
(写真:ブドウ‘シャインマスカット’の袋かけ(左)と笠かけ(右))
