トップページ > しごと・産業 > 農林水産業 > 農業 > 農業総合研究センター > 農業総合研究センター > 奈良新聞掲載記事集 > サトイモの減農薬栽培
印刷
ページ番号:23108
更新日:2026年4月14日
ここから本文です。
サトイモの減農薬栽培
暖かくなり、家庭菜園を楽しまれる方は、秋にかけての圃場計画を練っておられる頃ではないでしょうか。今回は、これから定植期を迎えるサトイモについて、減農薬栽培に挑戦する際のポイントを紹介します。農薬を使わずに害虫被害を抑えるには、「早期発見・早期防除」が何より重要です。サトイモ栽培で問題になるのは、ハスモンヨトウとセスジスズメの幼虫による葉の食害です。いずれもいわゆる「芋虫」で、幼虫が成長すると葉に大きな被害を与えます。減農薬栽培でこれらの害虫を防除するためのポイントは、「株数を減らす」ことです。株数は、最低でも週に1回、できれば毎日巡回できる範囲に限定して定植してください。株間を50cm程にやや広くすると巡回時に作業しやすくなります。サトイモは乾燥を嫌うので、潅水はこまめに行います。順調に生育すれば1株から20個近く、合計1キログラム以上の芋を収穫できます。ご家庭で消費する量から、定植する株数を逆算してみてください。巡回時は圃場を眺めるだけでなく、葉の表と裏を確認し、産み付けられた卵や幼虫を探します。ハスモンヨトウは数百個が塊となった卵塊を、セスジスズメは卵を1粒ずつ葉に産み付けます。卵や幼虫を見つけたら、手で取り除きます。株数が多すぎると巡回が追いつかず、害虫の勢いに負けて葉に大きな被害が出ます。6月から10月までこの作業を繰り返し、農薬は食害が目立つ場合にのみ散布します。うまくいけば、農薬を一度も散布せずに収穫することが可能です。
大和野菜研究センターでは、大和高原地域で有機栽培が可能な品目としてサトイモの栽培試験に取り組んでいます。試験では有機JAS適合農薬を使用していますが、これらの農薬は成長したハスモンヨトウやセスジスズメの幼虫に対して効果が低下する場合があります。そのため、「早期発見・早期防除」を徹底しています。
【豆知識】
サトイモに花が咲くことをご存じでしょうか。原産地のアジアの熱帯地方では花が咲き、昆虫が花粉を運び、種子ができます。花の色は淡い黄色で、長さは約20cmです。花はサトイモ科独特の「仏炎苞」と呼ばれる形態です。雌花と雄花を包む苞が仏像の背後にある炎の飾りに似ていることから、その名がつけられたそうです。日本では気温が低く、花を付けるまで十分に生育することが難しいため、通常は花を見ることがありません。しかし近年は温暖化の影響か、夏の暑い年には、奈良県でも8月頃に花を咲かせることがあります。ただし、秋に気温が下がるため、花が咲いても種子は付きません。サトイモの花言葉は「繁栄」「愛のきらめき」「無垢の喜び」といった、縁起の良いものばかりです。厳しい暑さの中、サトイモの花を見かけることができれば、それは幸運の兆しかもしれません。
(写真:サトイモの花)
