印刷

ページ番号:23306

更新日:2026年5月1日

ここから本文です。

知事コラム

2026年5月号

vol.31 人とシカの共生、その光と影


奈良のシカは万葉集にも登場し、1300年以上前からこの地に生息していた可能性があります。奈良と言えばシカと大仏を想起するように、奈良の顔であり、貴重な観光資源ともなっています。そして、奈良のシカのファンは県外にも多くおられます。

このように奈良のシカは奈良の宝ともいうべき存在ですが、人とシカの共生にあたっては悲しむべき出来事も頻発しています。交通事故で死傷するシカは年間約40頭、シカと接触してけがをする人は年間約130人、その他、シカによる農作物の被害も多く確認されています。飼育されていない野生動物と人が共生する代償とも言えます。

奈良のシカはあくまで野生動物であり、県や春日大社が所有しているわけでも飼育しているわけでもありません。ただ、合併前の奈良市内に所在するシカは文化財保護法上の天然記念物に指定されています。その観点から、県は生息環境の保全などに取り組み、民間団体である「奈良の鹿愛護会」が負傷したシカを保護しています。天然記念物の対象となるシカの推定頭数は令和3年の4,713頭から令和7年の12,448頭と約2.6倍に増えており、上記の悲しむべき出来事も増加し、保護したり捕獲したりするシカも増えています。一方、合併前の奈良市外のシカは天然記念物ではなく、通常の野生動物になりますので、鳥獣保護管理法という法律に基づきイノシシ等と同じように対処することになります。

先日、奈良から来た可能性のあるシカ1頭が大阪市で発見され、捕獲されました。奈良県民は慣れっこでも大阪市民は不慣れなので人身への被害を恐れたからでしょう。今後、奈良のシカが増え続ければ、県内外の商業地や住宅地で発見されるシカも増えるかもしれません。このような事態に対し行政としてどのように対応するのか、有識者の知見も借りながらしっかりと検討してまいります。

奈良県知事