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ページ番号:22517
更新日:2026年4月1日
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むかしばなし
2026年4月号
奈良のむかしばなし
第90話
黄金(こがね)の鶏が鳴く塚
文・山崎しげ子
奈良盆地のほぼ中央、初瀬川(はつせがわ)と寺川に挟まれた田原本町。東の三輪山(みわやま)と西の生駒山の山並みが一望できる。ここは弥生時代の「唐古・鍵遺跡(からこ・かぎいせき)」で知られる。約2000年前、日本で最大級の村が誕生し、稲作が行われ、約800年の間、人々の生活が営まれた。よほど暮らしやすい地であったようだ。
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その昔、田原本町に老夫婦が住んでいた。二人は仲良く暮らしていたが、お婆さんは目が不自由だった。ある年の大晦日、ひとりの物乞いが来た。優しいお婆さんは、用意していたお正月の餅を分け与えた。喜んだ物乞いは帰り際、「明日の元旦、早朝に黄金塚にお参りしなさい」と。老夫婦は、言われた通り、元旦の早朝、その塚にお参りした。やがて、塚に一羽の黄金色の鶏が現れ、東に向かって「コケコッコー」と大きく鳴いた。すると、あれ不思議、お婆さんの目があいた。お爺さんの顔もよく見える。それからも二人は仲良く暮らしたそうだ。 めでたし、めでたし。
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鶏と言えば、「唐古・鍵遺跡」でも鶏頭形土製品(けいとうがたどせいひん)と鶏のヒナの骨が出土している。弥生時代から鶏は人々の暮らしの中で親しまれていたようだ。 さて、その「唐古・鍵遺跡」(国指定史跡)。面積約42ヘクタール、甲子園球場の約10個分。環濠(かんごう)を巡らせた広大なこの村で、人々は稲作に励み、近畿をはじめ、遠く新潟とも交易をしていた。人口は、推定約900人とも。 史跡公園の唐古池に建つランドマーク、渦巻きの屋根飾りが特徴の楼閣(ろうかく)。出土土器に描かれた絵から復元された。春は、池の堤(つつみ)の桜並木が美しい。
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楼閣から南へ、徒歩約20分、「唐古・鍵考古学ミュージアム」へ。 ここでは、遺跡からの出土品など566点(国の重要文化財378点)を収蔵。主要なものを展示している 壺、甕(かめ)、鍬(くわ)、稲を刈った石包丁、銅鐸(どうたく)、布や蓆(むしろ)を作る道具など。新潟県糸魚川(いといがわ)産の美しい緑色のヒスイの勾玉も。 注目は、各展示ケースごとにある大型パネルの絵。展示品をもとに当時の人々の生活の様子が生き生きと再現されている。一目で、遥か2000年前の弥生時代の生活にタイムスリップできる楽しさ。春にぜひ訪れたい。
唐古・鍵遺跡史跡公園の「さくらまつり」
桜の開花に合わせて、3月26日(木曜日)から4月8日(水曜日)まで行われる「さくらまつり」(予定)。唐古池の周りのソメイヨシノ約100本と点在するヤマザクラが、園内をピンク色で彩ります。18時~20時には唐古池の周囲のライトアップも実施。池の東側には桜のトンネルができ、幻想的な夜桜を楽しむことができます。土曜日と日曜日は、たこやきやチュロスなどの屋台が弥生の建物広場に並び、大勢の花見客で賑わいます。また公園向かいの道の駅レスティ唐古・鍵には田原本町の野菜や特産品が集まり、地産地消のカフェもあるので、ぜひお立ち寄りください。※公園内は火気厳禁のためご注意ください。

さくらまつり」夜桜の風景
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物語の場所、田原本町を訪れよう

唐古・鍵遺跡史跡公園 (田原本町唐古50-2)
アクセス:近鉄橿原線石見駅下車、約1.5km
問い合わせ:唐古・鍵遺跡史跡公園事務所
電話:0744-34-5500