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ページ番号:26741
更新日:2026年11月2日
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万葉集
2026年11月号
vol.150 夢にだに 見ざりしものをおほほしく 宮出もするか 佐檜の隈廻を
いめにだに みざりしものを おほほしく みやでもするか さひのくまみを
舎人(とねり) 巻二(一七五番歌)

訳
夢にだに想像しなかったものを、心も晴れず宮への出仕をすることだ。檜の隈の地を。
呆然とする舎人
本歌は天武天皇の皇子の草壁皇子(くさかべのみこ)(母は持統天皇)が亡くなった折の挽歌(人の死に関わる歌)で、「皇子尊(みこのみこと)の宮の舎人(とねり)等(ら)の慟(かな)しび傷(いた)みて作れる歌二十三首」中の一首です。「舎人」とは天皇や皇族の側に仕えた官人のことです。この歌群には舎人らの名前は書いておらず、不特定多数の臣下たちが次々と悲しみを表明するという趣になっています。
本歌の表現を見ていきましょう。第一句「夢」は奈良時代以前ではもっぱら「いめ」と言っていました。「だに」は「~だけでも」の意味で、第二句とあわせて「現実はもちろんのこと、こんなことになるとは夢にも見なかった」と述べています。
第三句「おほほしく」は心の晴れない様子を表す形容詞です。この舎人はそのように憂鬱な状態で宮に出仕しているのであり、そうした気持ちを詠嘆を表す終助詞「か」で強調しています。
「檜の隈」は現在の高市郡明日香村野口・平田・檜前(ひのくま)の辺りです。草壁皇子の葬送はこのあたりを通り過ぎて現在の高取町佐田に葬られたのであり、殯宮(埋葬するまでの間遺体を仮の建物に安置しておくこと)の期間に舎人たちは侍宿(じしゅく)のためにかよったのです。
草壁皇子は天武天皇の後継者として将来を望まれ、政治的にも重要な人物でした。この歌群の直前に置かれた挽歌で柿本人麻呂はそうした草壁皇子を失った喪失感を詠んでいますが、こちらはより皇子に近い立場の人々による悲しみが表現されています。この歌では草壁皇子の突然の死を受け入れがたく思いつつも、舎人として殯宮の仕事はこなさなくてはならない現実を詠み、皇子の死に直面しての呆然とした気持ちを述べています。
(本文 万葉文化館 榎戸 渉吾)
万葉文化館イベント情報
奈良県立万葉文化館開館25周年記念 「飛鳥・藤原の宮都」世界文化遺産登録記念
特別展 高照らすみやこ ―描かれた「飛鳥・藤原の宮都」―
開催中~12月6日(日曜日)
「飛鳥・藤原の宮都」は近現代の画家たちにも多くのインスピレーションを与えてきました。飛鳥時代の人々や都の風景、そして現在にのこる遺跡、それらを描いた作品を紹介し、画家の目から見た「飛鳥・藤原の宮都」の歴史を探ります。
※国内の小・中学生、高校生、18歳未満の人は無料。その他割引など、詳しくは当館HPをご覧ください。

烏頭尾精
「蘇る朱雀」2003年
奈良県立万葉文化館蔵
記念講演会
「古代絵画と近代日本画 靫彦(ゆきひこ)・青邨(せいそん)・松篁(しょうこう)」
無料・申込不要
11月8日(日曜日)14時~15時30分(13時30分開場)
[講師] 増記 隆介さん(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
[定員]100人(先着)[会場] 企画展示室
ギャラリートーク&ウォークイベント
画家が見た「飛鳥・藤原の宮都」を巡ろう
要観覧券・申込不要
11月23日(祝)、11月29日(日曜日)[時間] 各日①10時~12時 ②14時~16時
[講師] 染田 英美子(当館主任学芸員)
北井 利幸さん(奈良県立橿原考古学研究所指導研究員)
西光 慎治さん(明日香村教育委員会文化財課課長補佐)
[定員] 各回30人(先着) [集合場所] ホワイエ
万葉集をよむ
無料・申込不要
11月18日(水曜日)14時~15時30分
「雑歌(ぞうか)(8)」(巻9・1753〜1765番歌)
[講師] 中本 和(当館主任研究員)
[定員]150人(先着)
※アーカイブ配信(翌日から一週間視聴可)
にぎわいフェスタ万葉 秋
開催中~11月29日(日曜日)
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電話:0744-54-1850 HP:www.pref.nara.lg.jp/manyo
※駐車場有料(普通車1日1回につき500円)
※詳しくは当館HPをご覧ください。
お問い合わせ先
地域創造部万葉文化館