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ページ番号:24547
更新日:2026年7月1日
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特集
2026年7月号
特集1 未来へ継ぐ 100年後の森の景色を、この手で描く

森をつくり、森をつなぐ、という仕事
奈良県の地図に色を付けると、そのほとんどが森に覆われていることが分かります。歴史を彩り、人びとの暮らしに有形無形の恵みをもたらしてきた奈良県の森。その豊かさは、人の手で守られてきたのです。
奈良県の土地のおよそ77%は深く、美しい森に包まれています。無数の生命が息づく森は豊かな水を蓄え、土砂災害から人びとの暮らしを守るとともに、木材などの資源を通して地域の発展を支えてきました。
その豊かな森の約6割は、先人たちが木を植え、手入れを続けてきた「人工林」です。私たちが当たり前のように受けている森の恵みは、ただ自然のままにあったわけではなく、数百年もの間、林業に携わる人びとの「手」によって守られ、受け継がれてきました。
いま、その大切なバトンを未来へつなぐため、2021年に開校した「奈良県フォレスターアカデミー」の卒業生たちが、県内各地の森で動き出しています。今回の特集では、多様な背景から奈良の山へ飛び込み、それぞれの視点で持続可能な森づくりに挑む二人についてご紹介します。
奈良の森と林業の現在(いま)
奈良県の豊かな森は、私たちの暮らしや安全を支える大切な基盤です。現在、県内各地に44の認定事業体※が所在し、広大な森林を適切に管理する役目を担っていますが、林業従事者数は減少傾向にあります。長い年月をかけて森を育む林業において、数百年続く森林を守り抜いた先達から次世代への確かなバトンタッチは、いまや県全体の未来を左右する重要課題です。数が減ったからこそ、現場に立つ一人ひとりの役割や社会的価値は劇的に高まっています。その一方で、確かな希望の光も灯っています。近年、自然と共に生きる新しい生き方に共感し、未経験から林業の道を選択する人が増加。県では、直近5年間で毎年平均約30人の新しい仲間が山に加わり、現場の若返りを支えています。この少数精鋭のプロフェッショナルを確保し、本物の技術者へと育てること。それが、奈良の豊かな緑を次の100年へとつなぐ、確かな一歩になります。
労働環境の改善や機械化などの計画を作成し、都道府県知事の認定を受けた林業事業体のこと。
ベテランが減る今、一人ひとりが主役に。―県内各地で、次世代のプロフェッショナルが育っています。



Interview 奈良の森林で働く人のリアルとビジョン
意味のある汗を。
奈良の森で、手触りのある未来を創る。
― 文系・ドイツ留学という経歴から、なぜ奈良の山へ?
埼玉県出身で、大学時代はドイツ文学を専攻し、留学も経験しました。林業とは全く無縁でしたが、前職のデスクワークに物足りなさを感じていて…。「もっと自分の手を動かして、手触り感のある仕事がしたい」と、一次産業のくくりで仕事を探し始めました。
そんな時、たまたま山間部で野生動物と遭遇したことから、シカによる食害などの深刻な「獣害」を知りました。動物に荒らされる森を守り、人の手で管理する「林業」の重要性に気づき、興味が湧いたのはそこからです。全くの未経験で飛び込むことに不安もありましたが、アカデミーで体系的に学びながらインターンシップで実際の職場や仲間を確かめることができました。じっくり学び、心から納得して進路を選べる2年間は、最高の「準備期間」になりました。
― 現場で感じる、この仕事の「おもしろさ」とは?
暗かった森に、間伐で木を倒し、パッと光が差し込んできた瞬間です。風が通り、生き生きと明るくなった森を見ると、自分の手で変化を起こせた実感が湧き、誇らしくなります。
いま取り組んでいる作業道づくりも、10年後の間伐でも繰り返し使えて、大雨でも崩れない丈夫な道を引くことが基本。アカデミーの授業で学んだ、山を観察して崩壊しない箇所を見極める「目」が、毎日の現場で活きています。
在学中の卒業研究では、野生動物との遭遇の経験もあり、自ら地域へ飛び込みジビエのフィールドワークに没頭しました。その縁から、現在は現場で汗を流す傍ら、副業として地域のジビエ店でも働いています。アカデミーで安全と技術をゼロから体系的に学ぶことこそが、未来の森と自分をつなぐ、一番確かな選択です。

ポロ・ビーシーエス株式会社 森林部 嶋田 宗慈 さん
埼玉県生まれ。奈良県フォレスターアカデミー2期生。2024年より同社森林部に所属 し、東吉野村、宇陀市を中心に林業に
従事。現在は宇陀市内に山林付きの自宅を所有し、地域のジビエ食肉専門店でも活動するなど、多面的な働き方を実践中。
山が良くなるだけでは足りない。
林業で『村の未来』をプロデュース。
― 「奈良県フォレスター」とは?
奈良県フォレスターアカデミーで高度な森林管理などを2年間学び、市町村に配置された専門職員です。一般的な行政職と違い、「長期間異動がない」のが大きな特徴。私は林業を黒滝村の存続と発展の「手段」と捉えています。村に長く寄り添える強みを活かし、地域に深く腰を据えて長期的な視点から山のビジョンや事業計画の策定に携わっています。
― 国本さんがフォレスターとして、一番大切にしている価値観は何ですか?
ただ木を切り、山を奇麗にするだけでは足りない、ということです。山だけが良くなっても、地域が潰れてしまったら意味がないですから。
利益や効率が最優先されがちだったこれまでの管理から脱却し、これからは「管理すべき針葉樹林」と「自然へ還す広葉樹林」を科学的に区分し、行政が明確なビジョンを示すことが重要です。黒滝村の山の99%は個人が持つ私有林。だからこそ、行政の正論を押し付けるのではなく、所有者一人一人と泥臭く対話を重ねて、みんなで一緒に未来の山の形を考えていきたいんです。
― 神戸出身で、初職は機械メーカーだったそうですね。なぜ行政フォレスターに?
元々は機械専攻で、初職で林業機械を扱った際、「これだけ木があるのになぜ輸入するのか」と産業が抱える課題に興味が湧き、民間の林業会社で4年半現場を経験しました。その後、働きながらマネジメントを学べるアカデミーを知り、1期生として飛び込んだんです。
今は2人の子どもと吉野の古民家で暮らしています。アカデミーで徹底的に叩き込んだ「森林マネジメント」や課題解決の力を武器に、地域を元気にする仕掛けをたくさんつくっていきたい。30年後、自分が関わった美しい森を子どもや孫の世代へ残せるよう、持続可能な未来へのバトンをつないでいきます。

奈良県フォレスター 黒滝村林業建設課 国本 峻 さん
兵庫県生まれ。奈良県フォレスターアカデミー1期生。大学卒業後に入社した機械メーカーで林業機械を扱ったことを機に、山の世界へ。岡山県内の林業会社で現場を経験し、2023年より現職。現在は吉野町の古民家で、2児の父として子育てと村の未来づくりに奔走中。
五感で楽しむ!ならの森林ツアー
~森林を守り育てる!フォレストワーカー体験~
日時:7月24日(金曜日)9時~17時
場所:県内の森林(黒滝村・高取町)など
申し込み:下記HPから。7月6日(月曜日)締切
問い合わせ:奈良県林業労働力確保支援センター
電話:0744-26-0202
URL:https://narawoodjob.wixsite.com/forestworker
詳しくはこちら
令和9年度入学 7期生 学生募集
募集学科
森林作業員学科(1年制)
フォレスター学科(2年制)
定 員
両学科合わせて20人程度
出願期間
8月17日(月曜日)~9月25日(金曜日)
試験日
10月4日(日曜日)
詳しくはこちら▶ URL:https://nfa.ac.jp/guideline/

最新情報はInstagram▶ URL:https://www.instagram.com/nara_forester_academy?utm_source=qr
奈良県フォレスターになる!
令和8年度 奈良県職員採用2.種試験[ 森林管理職 ]
奈良の豊かな森林を守り、活かす。その最前線で活躍するのが「森林管理職(奈良県フォレスター)」です。フォレスターアカデミーで2年間学び、市町村へ長期間派遣され、地域の森林管理を総合的に担います。
試験受付期間 7月6日(月曜日)~8月30日(日曜日)
第1次試験日 9月27日(日曜日)
詳しくはこちら▶ URL:https://www.pref.nara.lg.jp/site/narakensaiyou/shiken/r8/nishushiken.html
フォレスターアカデミーについて もっと知りたい!
夏のオープンキャンパス
日時:8月23日(日曜日)9時30分~16時
場所:奈良県フォレスターアカデミーほか(吉野町飯貝)
申し込み:下記HPから。8月2日(日曜日)締切(定員40人)
URL:https://nfa.ac.jp/blog/?p=2639
詳しくはこちら
問い合わせ:県フォレスターアカデミー
電話:0746-42-8100
FAX:0746-42-8400
お問い合わせ先
環境森林部フォレスターアカデミー