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ページ番号:10625
更新日:2026年2月27日
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奈良祭時記
県民だより奈良
2022年9月号

【vol.27】
奈良豆比古(ならづひこ)神社の翁舞

撮影:野本暉房
奈良市 奈良豆比古神社
翁舞の起源
翁舞の歴史は古く、奈良時代に春日王の病気を治すため、2人の皇子が舞を奉納したことが始まりとされています。翁舞は猿楽(さるがく)(能)のルーツといわれており、春日大社をはじめ、各地の祭礼行事で奉納されてきました。中でも奈良豆比古神社には特に古い形態が残っており、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
また、神社には現在使用されているものを含め多数の能面や装束が伝えられています。室町時代に作られたものもあり、翁舞での使用時を除き普段は奈良国立博物館に保存されています。
古式ゆかしい伝統の舞
翁舞は毎年10月8日の夜、秋祭り宵宮(よいみや)(本祭の前日)で氏神である奈良豆比古神社に奉納されます。9月21日に年齢と経験によって配役が決定します。小学3〜6年生が演じる千歳(せんざい)・青年が担う小鼓(つづみ)・三番叟(さんばそう)、そして地謡(じうたい)・大鼓・脇の翁を経て60歳代で太夫(たゆう)の翁を演じます。地謡のリーダーである地頭(じがしら)は太夫の経験者が演じる重要な役で、笛は熟練者が担当します。また、輪番で選ばれる3軒の当家(とうや)は翁舞には出演せず、1年間の祭事の世話をします。
9月23日から1週間は毎夜練習を行い、10月4日には神社の拝殿(はいでん)で「勢揃(せいぞろ)え」と呼ばれる予行練習を行います。宵宮当日の20時ごろ、演者は神社の衣装部屋で着替え、渡り床(橋掛(はしが)かり)を通り、拝殿に着座します。笛と小鼓の音とともに太夫と地謡が掛け合う前謡から舞が始まり、千歳が長寿を祝う千歳舞、太夫が天下泰平(たいへい)を祈願する太夫舞、脇2人の翁が太夫の舞に加わる翁三人舞、千歳と三番叟が問答を行う三番叟舞の順に1時間ほど演じられます。

後世につなぐため
古くは「翁講」に所属する人々が翁舞を継承していましたが、少子高齢化の影響で後継者が減少傾向になっています。そこで平成15年に「翁舞保存会」を結成し、氏子から後継者を広く募っています。また、従来は9月21日であった配役決定の時期を最近は4月中旬に早め、練習期間を長く確保するなどの取り組みも行っています。
近年は県内外のイベントへ出演する機会も増えています。翁舞が現在も存続しているのは、地域の皆さまや関係者の方々のおかげです。今後も地域の理解・協力のもと、翁舞を後世に伝えるべく活動を続けていきたいです。

左から
鈴木さん、松村さん、豊田さん、辰己さん
奈良豆比古神社の翁舞
10月8日

- 所 奈良市奈良阪町2489
- 問 無形民俗文化財については、県文化財保存課
- 電話 0742-27-8124
- FAX 0742-27-5386