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更新日:2026年6月27日

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籔内佐斗司館長の部屋

籔内佐斗司館長の部屋

 

ギャラリー企画「奈良ゆかりの現代作家展 ふれる光 三輪途道」展について

奈良県立美術館

館長 籔内 佐斗司

  

 彫刻家・三輪途道(みわみちよ)氏は、1966年に群馬県に生まれ、東京造形大学で彫刻を学び、東京藝術大学大学院美術研究科保存修復技術研究室において仏像を中心とした古典技法の研究を行いました。そしてその修士課程の修了制作において、鎌倉時代の東大寺復興に尽力した俊乗房重源上人像(国宝)の現状模刻に挑戦して見事な成果を納め、その後、同模刻像は東大寺の所蔵となりました。ついで2002年には、南インド出身で東大寺大仏開眼導師として来日し、東大寺創建に功績のあった「四聖(ししょう)」の一人に数えられる天竺僧・菩提僊那(ぼだいせんな)像の制作を委嘱され、本像も同寺の所蔵となっています。

 そして、ユーモアとウイットに富む温かい独自の感性と、奈良の仏像から教えていただいた古典技法に基づく確かな技量で産み出された作品を画廊や美術館で精力的に発表してめきめきと頭角を現し、若手木彫家として将来を大いに嘱望されていました。ところが、二十年ほど前から難病の網膜色素変性症により徐々に視力を失い、数年前に全盲となってしまいました。しかし、視力を失ってからも、自らの触覚と感性を頼りに、粘土造形と漆による制作を続け、大変魅力的な作品を生み出し続け、インクルーシブアート(障害者アート)の枠にとどまらない現代彫刻家として活動をしています。

 そしてこの度、当館ギャラリーにおいて「奈良ゆかりの現代作家展 ふれる光 三輪途道」展を、6月27日(土)〜8月23日(日)に開催いたします。目が見えなくなってから取り組んだ等身大を超える石膏心乾漆の大作《光の存在―光明観音》を中心に、触って体感する展示「触察アート」を展示し、作家が公開制作をする「触察鑑賞ラボ」など、盛りだくさんな内容の催しを行います。

 また本展と連携して、7月4日(土)から12日(日)まで東大寺文化センターB1Fの会議室Aにおいて「ひかりの記憶・てざわりのむこう」と題した三輪途道・籔内佐斗司・山田修の3人展が開催されます。Co-Gigaku「鯰しづめ」公演に合わせて行います。

 三輪氏は、《光の存在―光明観音》の縮小模造をはじめ多くの魅力的な触察作品を並べます。また私が東京藝術大学に在職していた頃に、デジタル文化財の研究者として支えてくれた奈良県立大学副学長の山田修氏は3D技術を駆使して東大寺大仏殿前八角燈籠の「音声菩薩」などの立体模型を、また私は、7月5日に東大寺金鐘ホールにて開催の奉納公演・Co-Gigaku「鯰しづめ」で使用する伎楽面や大鯰などを手で触れることのできる作品として展示します。有縁の三人がそれぞれに工夫を凝らした「ひかりの記憶・手ざわりのむこう」と題した展示を行います。

 途中失明とはいえ、全盲となった彫刻家・三輪途道氏による尋常ならざる芸術活動をぜひご体感ください。

三輪途道(アトリエでの制作風景)

 

 

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