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更新日:2026年2月27日
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『医学生へのメッセージ』
2013年1月7日
「地域医療を支え世界にはばたく」医学生諸君へ
吉岡 章(奈良県立医科大学 学長)

諸君はなぜ医学・医療の道を目指そうとしているのですか?医師が社会的に地位が高く、経済的に恵まれ、安定しているという理由だけで選ぶべきものでしょうか?そこには「病める人とその家族」に対する思いと共に、自らを律する心と、生命や人、社会、自然に対する奉仕の精神、畏敬の念がなければ務まるものではありません。
私は1歳の夏に、奈良医大の前身県立医学専門学校の附属病院に「重症消化不良症」で入院し、何日も意識が戻らない危篤状態から奇跡的に一命を取り留めたという病歴があります。そのことは幼少期から父や母から何度となく聞かされていました。それが何と、医大6年生の夏に、泥の染みついた当時の入院経過表(正式なカルテは出ず)が、私と故福井弘教授(当時助教授)によって見つけ出され、25年を経て私の手元に戻って来たのです。そこには昭和20年(1945年)8月15日の終戦の当日も、前日や翌日と同じように丁寧に熱型と「新鮮血輸血20ml」や「5%ブリ(ブドウ糖リンゲル液の意)200ml大皮(大量皮下注射の意)」の文字が記載されていました。そこには、敗戦を迎えた日本の片田舎でも一人の幼子の命を守ってくれた医師が、看護師が、病院があったのです。そんなわけで、私はごく自然に小児科学教室(故吉田邦男教授)に入局し、爾来38年小児科医の道を歩んで来ました。
諸君一人一人にもきっときっかけや思いがあるものと推察します。見事に医学部に進学された現在、そして医師となってからも、若い日の「初心」を忘れることなく医学・医療の道を極めて下さい。
私は学長として学生諸君にも教職員にも「夢」、「喜び」そして「やりがい(学びがい、働きがい)」の3Yをキーワードに、常に志を高く持ち、地域医療への貢献と先進医学の創出を通じて、県民、国民の信頼と期待に応えるよう、その学修・研究環境と職場環境を整えて来ています。
どうか志ある諸君、歴史と文化発祥の地であり、日本人の心のふるさとである、ここ奈良・大和の地で研修生活を謳歌し、医師として世界にはばたいて下さい。
