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スタッフブログ
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更新日:2026年5月25日
2026年1月10日~2月23日に奈良ゆかりのアーティスト交流プログラムvol.8 赤松加奈「真ん中と端っこのわたしたち」を開催しました!
アーティストの傍ら様々な役割を背負ってきた赤松さん。その役割がついたり外れたりすることに対し、不安と自由になった身軽さが同時に混在する中で、もう一度自分自身を見つめ直すための機会として今回のプログラムは実施されました。
関連イベントも盛りだくさんで行われた、約1ヶ月半の今回のプログラムを振り返ります。
「作品や道具が運び込まれ、スタジオが育っていく様子を見せたい」という赤松さんの意向から、会期初日には搬入の様子を公開しました。
今回はスタジオ301・302間の可動壁を取り払い、半分を制作場所、半分を展示場所として、公開制作と作品展示を並行して同一空間で行いました。

展示では、赤松さんが携わってきた「じぶん」「いのち」「そだてる」の3つのキーワードに沿った赤松さんの作品と、ゲストアーティストの高松威さん(鉄立体作家)、井上亜美さん(現代アーティスト)、山部泰司さん(画家)の作品を一緒に展示しました。

制作場所では赤松さんが何に興味を持ち、どのような視点で世界を見ているかを感じられます。
赤松さんはコラージュという技法を使って、下絵を作成していきます。その後、パネルにキャンバスを貼り、下絵を元にアクリル絵の具で描いています。

壁には実際に奈良の土地をリサーチして見た、川、柿の木、石上神宮の鶏など、奈良のモチーフのコラージュが少しずつ増えていきました。
窓際には山辺の道を歩いた際に撮影した写真、窓際には木の実、「熊が出るかも知れないから熊鈴を持って行った方が良い」と勧められ購入した熊鈴も置いていました。(熊は出なかったみたいです)
今回は、作品展示と作品の制作場所を同一空間にしたことで、展示を見に訪れた人を赤松さんが自身の制作場所に招き入れていく様子が伺えました。一緒に制作の手伝いをする場面もあり、作家と鑑賞者という関係を曖昧にし、訪れた人とフラットに関わっている様子が印象的でした。

1月17日、31日で行われたワークショップ「アーティストと一緒に山辺の道を描こう」では、他人の手が入った作品を自分の作品と言えるのか?そんな疑問から着想を得て、真っ白なキャンバスに参加者が描き、その後赤松さんが手を加え、さらにもう一度参加者に描き加えてもらい、最後に赤松さんが再び描き込み、作品として仕上げるという流れで行われました。
真っ白で大きいキャンバスからスタートです。
筆や絵の具を大胆に使う人もいれば、モチーフと向き合ってじっくり描く人など、多様な表現が見られました。

ワークショップが終わった後、赤松さんが手を加えました。

細かい描写や質感の違いを出すために、絵の具にメディウム*¹を加えたものをいくつか用意して描いてもらいました。
*¹:絵の具に混ぜることで、絵の具の性質を変化させたり多彩な表現を可能にする添加剤

他人が手を入れた作品をどう受け止め、自分の表現として描いていくのか。悩みながら制作を進めている赤松さんの様子が見受けられました。
トーク&ワークでは、スタジオの展示を鑑賞後、赤松さん・ゲストアーティストによるこれまでの活動や制作に対するお話を聞き、ワークでは各ゲストアーティストにまつわる体験をし、より作家や作品について深く知る事ができました。
道具を使わずに自らの手で鉄を曲げて制作を行う高松さんの手法を体験しました。

赤松さん、井上さんの生活から生まれた食材、鹿肉のレバーパテ、はちみつ、苺を実際に食べながらお話を聞きました。

赤松さん、山部さん、参加者全員でスタジオに広げたキャンバス生地に各々の表現で自由に描いていきました。

会期の最終日には、今回のプログラムを奈良県立美術館 学芸課長 山本雅美さんと振り返りました。

展示場所と制作場所が同一になった空間では、展示を見に訪れた人が聖域化されていた赤松さんの制作場所に足を踏み入れる様子やワークショップで自分の作品に手を入れてもらう様子が見受けられました。実際に赤松さんの制作へ招き入れる姿は作家と鑑賞者という関係を曖昧にし、訪れた人とフラットに関わっている姿が印象的でした。今回のプログラムでは、来村者やアーティスト同士の交流など多様な関わりが生まれ、立場や役割を越えて人と人が出会い、つながっていく時間になっていたように思います。
赤松さんのプログラムを含むこれまでのアーカイブはこちらから観ることができます。
そして、7月からは「文化村クリエイション」の招へい作家による滞在制作が始まります。今後のアーティストの滞在制作もぜひご注目ください!